Xalletに込めた「憶い」 Xalletに込めた「憶い」

当時、私のジュエリーに対する認識は、宝石がついた装飾品という程度のものでした。
しかし、たまたま入ったアクセサリーショップで、始めてシルバーアクセサリーを目にした私は、
その自由な造形に衝撃を受け、突き動かされるようにシルバーアクセサリー制作を始めました。
15歳でした。今はもう、その時見た作品について何も覚えていません。
ですが、その時の衝撃だけは覚えています。それ以来、私は彫塑に没頭し続けてきました。

しかし、時が経つにつれ、あれほど自由に思えたシルバーアクセサリーに、
私はむしろ不自由さを感じるようになりました。
完成されたスタンダードに深く頷き、納得するにつれ、
そこにはもう自分のやるべき事がないように思われました。
思えば、私が技術を学んだのは、シルバーアクセサリーという先人達によって磨き上げられた概念の上に、
自分の名を彫り足すためでは決してありません。
私を突き動かしたのは、初めてシルバーアクセサリーを見た時の、あの衝撃そのものです。
それこそが私のモチーフなのだと、気付きました。

あの時、初めて見たシルバーアクセサリーがどういう作品であったかは、もう忘れました。
探し出す気もありません。
しかし、それを初めて見た時の、今も克明に思い出されるあの感銘を、形のないモチーフを、
Xalletを手にした人々の胸に再現したい。
それが、Xalletの銘を打った全ての作品に込められた「憶い」です。

吉野真由

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